会社の商号にローマ字を使いたい!

Q 「ABC株式会社」という社名で新規事業を立ち上げる計画があります。発起人のひとりが言うには「社名にローマ字を用いることはできないらしい」とのことですが、何らかの支障を伴うのでしょうか。

A 企業の商号にローマ字を用いることにはこれまでも何らの規制もありません。社名を「ABC株式会社」とすることももちろん可能であり、既にローマ字を商号の一部に取り入れた企業は多数存在していました。ただし、従来、登記簿には「エービーシー」という仮名表記しか認められていなかったため、社会経済や企業活動の国際化・日本語表記の多様化等に伴い、表示上の不一致がもたらす様々な不都合・不利益が指摘されておりました。これらの要請を受け法務省は、平成14年11月1日より登記簿へのローマ字等での表記を認めることとなりました。
今回の改正により使用が認められる文字は次の3つです。@ ローマ字(大文字及び小文字)、A アラビヤ数字、B「&(アンパサンド)」「’(アポストロフィ)」「,(コンマ)」「−(ハイフン)」「.(ピリオド)」「・(中点)」の各符号(但し、字句を区切る際の符号として使用する場合に限る)。
取引先との関係や企業イメージの向上のため、ローマ字等の表記へ変更を検討する企業も多く、既にいくつもの企業が採用を決定していると耳にしています。企業の商号は定款記載事項でありますから、ローマ字等の表記への変更は以下の手順に従う必要があります。まずは役員会において承認を取り、次回の株主総会(有限会社の場合は社員総会)に「定款変更」の議案を提出、商法上の特別決議を満たす同意をもって商号変更の効果が発生します。あとは法務局への申請を済ませれば、法律上の手続きは完了です。ただ、社名の変更には多くの事務手続きが伴います。名刺・印刷物・ゴム印等の事務用品に加え、看板や新聞・雑誌・広報誌等への各種広告物の再発注も行なわなければなりません。また、金融機関・税務署・社会保険事務所・加盟する業界団体や商工団体などのほか、所有する不動産や有価証券についても個別の名義変更を求められるケースが多いでしょう。経費の増大や事務手続の煩雑さもについて、役員会の段階で十分な検討を済ませておくことをお勧めします。

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